何気なく使っている「相続人」という言葉ですが、ある方が亡くなった時にその人の相続人が誰であるかを確定することは非常に重要です。
ここでは、「相続人」について、簡単に触れたいと思います。
被相続人をAさん、その配偶者をBさん、AさんとBさんの間の子供がCさん、DさんとEさんとします。
Aさんの相続が発生したとします。
わが民法では、配偶者は常に相続人です。
この配偶者とともに、相続人になる人の順位が決まっています。
●第一順位が子
●第二順位がAさんの直系尊属
●第三順位がAさんの兄弟姉妹。
●第四順位以下は、いません。
上記の決まりからすれば、Aさんの相続人は、配偶者であるBさんと、第一順位である子供Cさん、Dさんと、Eさんの4名となります。
法定相続分も一応確認しますと、配偶者と第一順位の相続人の法定相続分の割合は1対1、配偶者と直系尊属は2対1、配偶者と兄弟姉妹は、3対1です。
「自分で登記」で紹介した私の事例で考えますと、被相続人大西博明さんの相続人は配偶者大西栄子、子が大西彰、大西太郎、竹下恵の4名です。
すると、法定相続分は
●配偶者大西栄子が6分の3
●子大西彰が6分の1
●子大西太郎が6分の1
●子竹下恵が6分の1
となります。
私は、遺産分割協議で、紹介した不動産を取得しましたが、法定相続分(6分1)との関係で考えると、法定相続分以上の財産を取得したことになります。(大西博明の遺産は、まだありましたが、それを加味しても、私が取得した遺産の総額は、総遺産の6分の1以上です)
私一人が得をした感じですが、民法906条に以下の定めがあります。
第906条 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他いっさいの事情を考慮してこれをする。 |
この規定の趣旨を簡単にいえば、遺産の分割を話し合うときは、一般の常識を持って臨みましょうということです。
たとえば、ある人の遺産である不動産を分割するときに、そこに住んでいる人のその後の生活を考慮に入れて、話し合うことが期待されます。
話し合いの結果、その不動産に何のゆかりのない人が、名義人となって、その不動産に住んでいた人(例:高齢となった配偶者や、障害のある子供)の生活が脅かされることは、本末転倒と言えます。
こういう観点でみれば、今回私が貰った不動産は、私が現に居住に使っている不動産であり、私の名義となることが、望ましかったともいえます。
あとは、余分に貰った相続分を誰にどのような形で代償するかがポイントとなります。