数次相続が発生した場合のもう少し複雑な場合をご紹介します。
下図をご覧ください。
被相続人甲が死亡し、甲の配偶者乙と子の丙、丁が相続人であったところ、遺産分割協議をすることなく、丙が死亡しました。
この場合、甲の相続財産について、乙、丁、A、Bの4者で遺産分割協議をすることができます。
甲さんの死亡により開始された相続により、丙が取得した相続人としての地位は、丙の死亡によりAとBに相続されていますので、丙が乙と丁と行う遺産分割協議を行う地位をA、Bは引き継いでいると考えることができます。
次に、この4者で行った遺産分割協議の内容によって登記申請がどのように変わってくるのか、少し踏み込んだ説明をいたしましょう。
(1)丁が取得するという協議が成立した場合
(2)Aが取得するという協議が成立した場合
(3)丁とAが取得するという協議が成立した場合
(4)亡丙が取得するという協議が成立した場合
(1)は、甲から直接(1件の登記申請によって)丁名義に名義変更することができます。
(2)も同様です。
(4)は、死亡者の名前で登記をすることができますので、これも甲から直接、丙へ名義変更することができます。
ただ、(4)の場合、丙名義に変更したとしても、丙の相続が発生していますので、A,Bの2人で遺産分割協議をする必要があります。
問題は(3)ですが、これは甲から直接丁A名義に変更することはできません。
まず、甲から丁、丙名義に変更をしてから、丙名義をAに変更する手続きが必要となります。
これは、中間の相続が単独になっていないためです。
だから(3)は1件の登記申請で終わらせることはできず、2件の登記申請をしなければなりません。